これって、こんなに情報量の多いレコードだっけ? ― 19世紀前半に活躍したイタリア生まれのヴァイオリニスト兼作曲家のニコロ・パガニーニは、その超人的なテクニックから「ヴァイオリンの鬼神」と称えられ、多くの聴衆を魅了しました。そのパガニーニをモデルとしたオペレッタ。何でもオペレッタの内容よりも、事実の方がドラマチックだったとも言われていますが、曲中にフランツ・レハール(1870〜1948)らしい美しいメロディの曲がふんだんに盛り込まれており、ヴァイオリンのソロの美しいメロディも登場してきます。名ヴァイオリニストであったパガニーニと、ナポレオンの妹アンナ・エリーザなど、実在した人物の史実を基にしたオペレッタ。フィクションではあるのですがレハールが丁寧に造り上げた音楽と相俟って、オペレッタを超えたスケールを醸し出している。レハールの自作自演盤でソロを担当していた ― ウィーンの国立歌劇場で、第2ヴァイオリンを担当していたある日、作曲家レハール本人から、「国立歌劇場で私の指揮で私の作品を上演することになったので、そのソロを弾いてくれないか」と頼まれて「ジュディッタ」のヴァイオリン・ソロを引き受けたところ、眩い出来で、それ以来当時の大コンサートマスター、ロゼーから目の敵にされるようになって困ってしまったそうである。ボスコフスキーが今度は指揮者として小気味の良いテンポとメリハリのある演奏で楽しませてくれます。やはり作曲家の指揮の下で演奏したというのは大きいのでしょうか。この喜歌劇「パガニーニ」という作品はレハールの代表的な作品の1つに数えられますが、意外と全曲盤はあまり多くありません。その中でもこの音源は最上の演奏と言って良いでしょう。 タイトルロールのニコライ・ゲッダやアンネリーゼ・ローテンベルガー、ベンノ・クシェ等、本盤は英国盤なのだがオリジナルは西ドイツ・エレクトローラの録音。お馴染みの歌手の芸達者な歌唱やドライブ感のあるメリハリのあるボスコフスキーのタクトと、どれも理想的です。劇中のヴァイオリンのソロは、ソリスト級の人物を引っ張り出してくる録音もありますが、本盤では当時若手であったウルフ・ヘルシャーが担当しており、やはり音が違います。ローテンベルガーは50歳を超えていて本格的なオペラを歌うのには高域が若干不安定になりがちだが、このようなオペレッタでは全く問題無いどころか芸達者でチャーミングが歌いまわしが非常に魅力的だ。そのほか当時のこれらのオペレッタを歌える西ドイツで集められる最高の歌手を集めて制作されたこの盤は、今でも魅力が失われないばかりか、録音も良い事でむしろ現代では貴重な記録になりつつあるように思う。オペラ好きの方には、実に楽しい聞きものになるでしょう。
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