ユニークな企画の火付け役 ― ストコフスキー・フリークでもある指揮者、ジェフリー・サイモンは企画プロデューサーとしても抜群。クラシック・レコード業界に旋風を巻き起こすのも性に合うのだろう。ストコフスキー協会会長でもあるだけに留まらず、ロンドンで自らCALAレーベルを設立して、その復刻に尽力。彼の意向が反映した埋もれた作品の発掘にも積極的で、大作曲家の珍しい作品ばかりを世に出して話題となった世界初録音盤も多く存在します。こういう企画趣旨の元集うレコーディングは、きっと充実していたに違いない。本盤でも、そうした特徴が顕著に現れている。幻想序曲『ロメオとジュリエット』は初稿版を使用したレア録音。チャイコフスキーは交響曲第1番と第2番の作曲時期の合間にあたる1869年にこの初稿版を書き上げているのだが、冒頭部分に「ローレンス僧」の主題はなく、実に平和でのどかな雰囲気の旋律でスタートするので、一聴して現在演奏される曲とは全く違う版となっている事に、まずびっくりさせられてしまう。その後、「ロメオとジュリエット」のテーマは出てくるものの、「ローレンス僧」の主題がないので中間部のトランペットも現在と違ったフレーズになっている。手が加えられ、1880年に現在演奏される形となる頃は、交響曲第4番を含む、後期3大交響曲に取り組む時期であった事もあり作曲者の最も油の乗り切ったオーケストレーションに進化を遂げていることが、改めて認識できて興味深い。珍しい曲と、優秀録音。印象に残るジャケット・デザインで話題となった、シャンドスを代表する録音だ。
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