エミール・ギレリス最盛期の最美のピアニズムとフリッツ・ライナー&シカゴ交響楽団全盛期の剛毅な響きを堪能できる名盤。 ― ライナー&シカゴ交響楽団の技量は圧巻であり、アンサンブルなどいささかも弛緩することはない。ブラームスのピアノ協奏曲第2番はチェロの独奏も聴き処。1953年、フリッツ・ライナーがシカゴ響に移るのに伴って移籍。1958年まで首席奏者だったヤーノシュ・シュタルケルの独奏が美しい第3楽章も聴きもので、これ以上豪華な演奏は他にちょっと見当たりません。鉄壁のアンサンブル、てきぱきした進行、金管楽器も木管楽器も完璧な技量を披露している。アルトゥーロ・トスカニーニとレパートリーも多く重なりブラームスの交響曲4番などを聴くとライナーがトスカニーニよりも厳格だったのでは、と思わせるくらい厳しい表情を見せています。第1楽章や第2楽章など、抒情的な美しさなど薬にしたくもなく圧巻の音塊が炸裂する。第3楽章になると、シュタルケルのチェロなどは美しい箇所も散見されるが、終楽章になると再び凄まじい進軍が開始される。ギレリスも凄い。鋼鉄のピアニストと称されたエミール・ギレリスが、その面目躍如たる硬質のタッチを示している。後年にヨッフムと録音した、やや角の取れた柔らかさがある仕上がりもギレリスらしさではあるが、鉄壁のライナー&シカゴ響と鋼鉄のギレリスのピアノが組み合わさると完璧な演奏が生み出されることになる好例としては本盤に軍配があがる。もちろん、ブラームスの音楽には卓越した技量や圧倒的な迫力だけではなく、人生の苦みを感じさせるような深みのある表現も不可欠なのは承知した上。ブラームスのピアノ協奏曲第2番の演奏史上、スコアを完璧に音化した演奏ということができる。虚飾を拝し、恐ろしいまでの緊張感の漂う筋肉質の演奏が多いイメージですが、この演奏は厳格なまでの音の彫琢はそのままで、ロマンティックで極めて柔軟なフレージングが聴かれる名演でした。シカゴのオーケストラ・ホールは、ボストン・シンフォニー・ホールよりも録音に向いていたようで、このホールで収録された1950年代・1960年代のライナー=シカゴ響の録音はいずれも高いクオリティに仕上がっており、オーケストラのトゥッティの響きと各パートのバランスの明晰さが両立した名録音が多いです。
from 100年後でも聴いて楽しいアナログ名盤レコード https://ift.tt/2t80Cs0
via IFTTT
