飽くなきリアリティを探究した〝アンサンブルの神〟 ― この「弦楽五重奏曲ハ長調 D.956」は、1828年9月ごろ、同年11月のシューベルトの死の直前に書かれました。通常の弦楽四重奏にチェロがもう一人加わり、低音を軽やかにした五重奏になっています。シューベルトの五重奏曲は、その編成がユニークだ。ピアノ五重奏曲「ます」がチェロではなくコントラバスなのは、リズムを支えることから左手が自由になったピアノが闊達にメロディーを奏でられるように心配ったからだった。ピアニストは、同時期のシューベルトの室内楽曲を研究すると、ピアノでどのように対位法、リズム、音色を表現したらいいか、参考になるはずです。第2チェロを加える事で第1チェロが伴奏から開放された、シューベルトの弦楽五重奏曲は小さいオーケストラ曲といえるスケールが魅力だ。最小に切り詰めた弦楽四重奏では難しい、オーケストラ曲のような響きや発想で作曲されています。第1チェロは内声を担当し、時に、第2チェロと、ユニゾンでバスを弾きます。第2チェロは、この五重奏の土台となるバスを渾身の力で支えるのです。ラサール弦楽四重奏団は、1946年にヴァイオリンのヴァルター・レヴィンによって結成され、寄贈されたアマティの楽器を用いて演奏してきました。メンバーはヴァルター・レヴィン(第1ヴァイオリン)、ヘンリー・メイヤー(第2ヴァイオリン)、ピーター・カムニツァー(ヴィオラ)、リー・ファイザー(チェロ)。1977年録音の本盤は第2チェロにリン・ハレルを迎え、豪華な共演となっております。ラサール四重奏団の演奏する古典の名曲は、独特の響きで心に迫ってきます。これが聴く人によっては巌しく感じられる場合もあるのでしょう。彼らの演奏は、美しいアンサンブルの音色といった価値感や、作品から文学的なドラマや宗教的な迄の精神性といったようなものにその重点を置いてはいないようです。そのアンサンブルは、何処までも音そのもののリアリティが最優先され、結果聴く者に未聞の世界を体験させてくれます。多彩なレパートリーの中でもとりわけロマン派の作品を得意とした当団による演奏には定評があり、〝アンサンブルの神〟とも言える室内楽の極みを堪能させてくれます。
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