「君はテクニックがありすぎるね」 ― カッチェンは、10歳の時にラジオ番組に出演してシューマンを弾き、その放送の出来を聴いていたユージン・オーマンディに1年後に招かれて、Philadelphia Academy of Musicでフィラデルフィア管弦楽団と演奏。その1ヶ月後、ニューヨークのカーネギーホールで、ジョン・バルビローリの指揮でモーツァルトのピアノ協奏曲第20番を弾いてデビュー、ニューヨーク・タイムズはカッチェンの演奏について
11歳の少年にこれ以上望むことはできないだろう。と賞賛した。その後、カッチェンは大学で哲学とフランス語学を学びながら、デイヴィッド・サパートンに師事して腕を磨き、やがてパリに留学して演奏会が注目を集めると、その後はパリを本拠に活躍。カッチェンはレコーディングが好きだったが、スタジオ録音の時でさえ、自然に熱情や興奮が湧き上がってくるといううらやむべき才能があった。カッチェンが共演した指揮者は、エルネスト・アンセルメ、カール・ベーム、ゲオルク・ショルティ、ラファエル・クーベリック、オイゲン・ヨッフム、オットー・クレンペラー、ピエール・モントゥー、アンドレ・クリュイタンス、エドゥアルト・ファン・ベイヌム、イシュトヴァン・ケルテス、アタウルフォ・アルヘンタ、フェレンツ・フェレンチク、フランツ・コンヴィチュニー、カール・ミュンヒンガー、ペーター・マーク、ベンジャミン・ブリテン、アナトール・フィストゥラーリ、エイドリアン・ボールト、ルドルフ・ケンペ、ピエリーノ・ガンバなど。ピアニストとしての活動が20年ほどと短かったけれど、レパートリーは幅広く数多くの録音を残している。英DECCAレーベルの花形スターにふさわしい華やかで超絶的な技巧を身に付けつつ、同時に見世物サーカスにならない抑制的な知性も有する。しかもその音楽がヒューマンで抒情的で温かい。それどころかときには熱い情熱すら感じさせる。英DECCAが、カッチェンが20歳になる前にすでに契約をしていたというのは驚きだが、一番最初の録音(DECCA)は、1949年、彼が23歳の時に弾いたブラームスのピアノ・ソナタ第3番。しかも、この時の録音を担当したのは有名なDECCAのプロデューサー、ジョン・カルショー。このほかにもカッチェンの録音を担当していた。語弊がある表現かもしれないが、アット・ホームなレコーディング風景だった。いろんな演奏の録音を聴いていると、かなり感情が嵩ぶって弾いているところも少なくない。感情(激情)と理性との間を絶えず行き来しつつバランスをとりながら弾いているという感じの方が強い。カッチェンの演奏は理知的なアプローチだと言われたりするが、本盤、チャイコフスキーのピアノ協奏曲では、カッチェンが突進している。「知性」と「テクニック」と「情熱」を高度な水準で融合させた協奏曲録音。
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