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リリー・クラウスの絶頂期の記録

日本人が愛するモーツァルトの名盤を、日本軍によって失っていたかもしれない。拘留され第二次世界大戦終結まで軟禁された女流ピアニスト。
通販レコードのご案内《仏ディスコファイル・メタル使用盤》US HAYDN SOCIETY HS9056 リリー・クラウス モーツァルト ピアノ奏鳴曲K.457/K.284/K.475
ディスコフィル・フランセ録音

モーツァルト弾きとして知られるリリー・クラウスの最高傑作盤です。米ハイドンソサエティの本盤は、晩年の米国コロムビア盤と比して若い所為か情熱を内に秘めた、生命感に溢れる演奏です。 他のピアニストと比べると、自由自在なテンポ設定でフォルテは強いタッチで鳴らし非常に個性的です。
- ピアノソナタ第14番 ハ短調 K.457
- ピアノソナタ第6番 ニ長調 K.284
- 幻想曲 ハ短調 K.475
モーツァルトの音楽の持つ多様性を過不足なく的確に表現し、このフレーズはこうでなくては、と云うまさに正鵠を得た最高の演奏を聴かせてくれる。演奏家は身体で勝負するだけに、心身の衰えを如何にカバーしていくかが難しい。特に女性の場合、多くはそれに結婚・出産などが重なる。全身全霊を傾けた命がけの演奏家として、宇野功芳氏が挙げるのはアルゲリッチ、デュ・プレ、チョン・キョンファそれにリリー・クラウスと、みな女性だが長く第一線を保ち続けたのはクラウスぐらいで、彼女を驚異と宇野氏は捉えている。
彼女らは、いわゆる女性的なものを押し出さず、火のような情熱と作品に切り込んでいく深みにおいて男性奏者に匹敵する。しかし、このまま死んでもいいというほどの燃え尽き方を男性奏者は絶対にしないものではないか。ハンガリー生まれのリリー・クラウスは「モーツァルトは燃え立つ火です」と語っているが、クラウスの演奏にはパッションの炎が確かに感じられる。当時の演奏家としてはテンポの緩急の巾が大きく、ダイナミクスの変化にも激しさを見せるのは、内面から湧き上がる情熱が自然体として表層に上がってきた音楽で、現代の演奏家が大ホールに響き渡るような派手なパフォーマンスを恣意的に行っているものとは根本的に異なるものです。
ハ短調ソナタ K.457このソナタは、幸福感に満ちたK.330からK.333の4曲に続いて作曲された作品で、きわめて劇的な性格を持ったソナタであり、後のベートーヴェンにもっとも強く影響を与えた作品だといわれています。また、このソナタはK.475の《幻想曲ハ短調》とセットで演奏されることが多くて、その関係が昔からいろいろと取りざたされてきた作品でもあり、このレコードでも第6番を挟んで演奏されています。モーツァルトが2曲をその順序に組み合わせて出版したためでもあるのですが、しかし、両曲とも途中に明るいハ長調の部分があるにしても、基調はハ短調で深刻な情緒が支配的ですから、《幻想曲》だけ切り離して演奏したほうが効果的だという説も少なくありません。 モーツァルトが活躍した当時のコンサートではソナタの演奏に先立って幻想曲風の即興演奏を披露する事がよくあったそうです。このハ短調ソナタはモーツァルトの弟子であったトラットナー夫人のために書かれたもので、同じ調であるハ短調の幻想曲は彼女がコンサートで演奏するときのために、前半で披露する即興演奏のものとしてあらかじめ作曲したものではなかったのかというのが現在の定説となっています。手本としてモーツァルトが譜面にしたためた幻想曲を、夫人がいかに即興演奏としたかは想像を出ませんが、しかし、当時のピアノの可能性を限界まで使い切ったと思えるほどに広い音域とダイナミックな音量が求められるこのソナタを提供されたトラットナー夫人はそれなりの技量を持った女性であっただろうことが想像されます。 第6番のピアノソナタは、オペラの上演のために冬を過ごしたミュンヘンでデュルニッツ男爵からの注文に応えて作曲した、19歳の時の作品です。ニ長調という性格からも、明らかにハイドン風の特徴を持っていますが、今までの即興演奏などでため込んできたあれこれのアイデアをここに凝縮してまとめたものと思える、規模が大きく、まるで交響曲をピアノ用に編曲したような風情だといわれてきました。また、第3楽章の大規模な変奏曲形式はモーツァルトのソナタとしては他に例がなく、厳格な父レオポルドもこの作品をとても高く評価していました。とりわけ33小節にも及ぶアダージョ・カンタービレの第11変奏は本当に美しい音楽です。 ベートーヴェンに影響を与えた強烈なソナタと、即興演奏の風情のあるピアノ作品を組み合わせた、リリー・クラウスの演奏はモーツァルトの書いた音符を正確にバランスよく響かせることに意を注ぐのではなくて、モーツァルトが音符を使って書いた「心のドラマ」を再現しようと言うものです。譜面をめくる音も聞き取れることから、細切れの録音ではなく何回かテイクをとって、そのうちベストのものを採用しているようです。そのことも、このレコードの価値を高めているのかもしれません。彼女の演奏に虚心坦懐に耳を傾ければ、モーツァルトがこの音楽にこめた深い感情がヒシヒシと伝わってきます。そして、「人生は美しい、人生は生きるに足る」というモーツァルトのささやきが心に染みいってきます。リリー・クラウスのピアノはくっきりとしたフレージングで、モーツァルトのピアノ・ソナタなどは最近よく聴くような軽やかで透明感があるようなものとはまったく違って、正統派にして刺激的な歯ごたえがある。神経質では無い思い切りの良さが有る意味〝男性的〟ですが、モーツァルトに対する途方も無く深い愛情を本質に持つので、どの曲を聴いていても少しも飽きることなくモーツァルトの音楽がどんどんと心の中に浸みこんで来ます。
1956年パリ録音。通販レコード詳細・コンディション、価格
プロダクト
- レコード番号
- HS-9056
- 作曲家
- ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト
- 演奏者
- リリー・クラウス
- 録音種別
- MONO
コンディション
- ジャケット状態
- M-
- レコード状態
- M-
- 製盤国
- US(アメリカ合衆国)盤
“Haydn Society” DARK GREEN WITH SILVER LETTERING, MONO 1枚組 (170g), Stamper 仏ディスコファイル メタル XTV 使用盤。通販レコード
詳細の確認、購入手続きは品番のリンクから行えます。- オーダー番号34-25929
- 販売価格5,500円(税込)
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民族音楽への興味 ― 歌というものに対して不親切な時代における、ひとつの光明だ。

旋律は音楽の魂である。

“3大ヴァイオリン協奏曲”というのがある。ベートーヴェン、メンデルスゾーンに、ブラームスかチャイコフスキーの、何れかが挙げられる。 ― 3曲目が難しいので、“4大”にすると激論にならない。しかし、ほかにもヴァイオリン協奏曲には名作が数多い。
“10大”となれば必ず入選するのが、ドイツの作曲家マックス・ブルッフの代表作、ヴァイオリン協奏曲第1番だ。 -
“Refuge in Music” クラシック音楽のごちそうさん 110歳の天寿

Farewell Alice Herz-Sommer! We are saddened to hear that the visionary musician and survivor of the Theresienstadt concentration camp died yesterday. Her love of music and belief in its power brought solace and hope to many in one of history’s darkest hours.
Daniel Hope interviewed Herz-Sommer just a few months ago as part of the documentary “Refuge in Music”, a tribute to the musicians of the concentration camp “Terezin”. You can learn more about the film here: http://bit.ly/TerezinDVD
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指揮者クラウディオ・アバドをしのんで

音楽を楽しむ。それがピシっとした指揮姿から良く感じられたクラウディオ・アバドが亡くなって今月20日で、ひと月となる。
エグモントの音楽
BSプレミアムでは2014年2月10日、2つの演奏会が放送された。
前半は2012年のルツェルン音楽祭から、演奏会の様子は9月2日に Medici.tv で放送された。演奏会は8月10日。全体的にまだらな空白が客席に目立つのはマーラーの交響曲第8番からベートーヴェンの『エグモント』とモーツァルトの『レクイエム』に変更になったからだろう。この二曲なら大きいホールは必要ではなかったと思えるように、音響が遠い。迫力は薄めだけど、その分残響に助けられて聴きやすい。前半のベートーヴェンは、序曲は聴きなじんだもの。期待通り、セオリー通りの音楽となっていた。ソプラノのユリアーネ・バンゼのグレートヒェンは清楚な印象。ブルーノ・ガンツは語りで PA を使用したものでしたが全体整っていて違和感はなかった。
オーケストラの中にクラリネットのザビーネ・マイヤーを見つけた。
後半のレクイエムはオーケストラも加わったことで、前半の音響はかなり改善されている。ただ合唱の響きがオーケストラを圧するところがある。でも、キャパが大きい効果か澄んだ音楽に仕上がっている。
モーツァルトと弟子たちの共作としての《レクイエム》
ソプラノはアンナ・プロハスカ。バスはルネ・パーペ。テノールのマキシミリアン・シュミットはペーター・シュライアーを思い出させる。アルトのサラ・ミンガルドも理想に合う。リヒターが指揮した『レクイエム』の大好きな録音に並ぶ。
『レクイエム』はモーツァルトの最後の未完の作品であるのはご存知でしょう。自筆で残っているのは最初の2曲のみ。あとは弟子に口述して引き継がせました。あちらこちらにモーツァルトが完成していたら、もっと違う音楽に広がったんじゃないかなと思えるポイントが有ります。アバドはそういう期待も思わせながら、モーツァルトが描き上げた部分も書き上げなかった部分も一体とした音楽を作ります。
多くの録音が前半、後半と切り替える雰囲気があるのにアバドはアーメンをブリッジにして後半に音楽の気持ちを引き継いでいる。各曲を細切れにすること無く本来のプログラムがマーラーの千人の交響曲だったことを思い起こさせた演奏になった。
永遠の安息を、そして永遠の光に
現代の時間の中で再構成されたモーツァルトの音楽といえるだろう。言い換えれば、古楽演奏を学びとはしているけれどもモダン・オーケストラで楽しく聞かせていると言えば分り易いだろうか。
この演奏は現代音楽の響きに馴染んだ耳も楽しませる。もし《レクイエム》かぁ、と食指を伸ばさなかったままだったら後半だけでも聞き返して欲しい。もちろんいろいろなモーツァルトのレクイエムを聞いてきていたら、複数の版があるのを面白く並べ替えているというパズル的興味も持たされる。
最後のアーメン・フーガがまるごとカットされていて、そのかわり無音の中でアバドは一分間指揮棒を旨に抱いたまま黙祷する。
死は嘆き、省みるものではなくて生きている人が先に進むためにあるものなのです。
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Maria Callas, 1963

『マリア・カラスの真実』(フランス2007年。日本では2009年公開)は、マリア・カラスの生涯に焦点を当てたドキュメンタリー映画です。
有名なオペラ歌手ですが、後年、睡眠薬大量摂取での自殺未遂、睡眠薬や興奮剤を乱用し、肺血栓で53歳で亡くなりました。
なぜ、命を縮めるようなことを行い、50代という若さで亡くなったのでしょうか。映画は彼女の生涯を追います。
母親は男の子を望んでいましたが、生まれたのは女の子マリア。失望した母親は4日間も受け取りを拒否・・・マリアの兄が2歳で脳膜炎で亡くなり、母親は次の子は男の子を、と青い産着まで用意したそうです。
歓迎されず、居場所もありませんでした。6度の引っ越し。セールスマンの父は不在がち。家族団欒もありません。ハーレムの近くに引っ越しますが、母親は環境に馴染ませようとせず、部屋に閉じ込め、通りで遊ぶことも禁じました。
マリアは自分を無口で汚いと思っていて、学校では友人がなく「友達と遊んでも楽しくなかった」と彼女は語ります。
唯一の友、飼っていた小鳥に歌っていたマリアの歌の才能に気づいた母は条件付きで愛するようになります。
また母親は、自身の大女優になる夢を押し付けた部分もあったようです。映画の中でマリアが語ります。
「自分で決めた道ではなく、家族が決めた。家族と摩擦を起こさない為、従うしかなった」
「母がレールを敷いた。母は仕切っていた」
「親の代わりに出世しろ」
「お前の為に犠牲を払った」
「母からお金をくれないと新聞にぶちまける、と強請られた」とまで語る。そんな母親 を、晩年まで許せなかったそうです。映画は「この世に彼女の居場所はない。声だけが残った。」というナレーションの後、彼女の歌声で幕となります。
Maria Callas, 1963, in Paris, accompanying herself on the piano.
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戦場の花束◉仏プレス VSM C069-11664 アルド・チッコリーニ リスト・コンソレーション&伝説&愛の夢
今年2月1日に、チッコリーニは世を去った。89年の彼の生涯は戦争に翻弄されたが、普通の演奏家とは逆行するようなマエストロに成した。
第二次世界大戦後の混乱期、チッコリーニはバーで弾いて生計を立てていた。誰もが自分自身の事に件名でバーで聞こえてくるピアノの音楽まではゆとりがなかった。
そんな酔っ払いや女性目当ての客の喧騒の中で弾かれるピアノが次第に心をとらえ、やがて彼の演奏に耳を傾ける人々が増えてホールが静寂になってしまった。若いピアニストには、そうした瞬間が喜びだった。
20歳の若者だったチッコリーニは「戦争のおかげで10代を楽しめなかった。すべての戦争は人類にとって、必要のないもの」と言い切る。人間の声や弦楽器と違い、音と音の間に切れ目のあるピアノは人工の楽器。
そのピアノを弾くピアニストは生涯かけて微分音をつなぎ、レガートの幻想を究めなければならない。チッコリーニのレパートリーのスタートは、スカルラッティ、パイジェッロ、メルカダンテらナポリ楽派の鍵盤奏法に始まり、レコード愛好家に彼を認識させるものとなったものでした。そのカンタービレの流麗さを失わないまま、内面の芸術を深めて行く。形而上的ベルカントとも呼べる円熟は、リストの宗教性に傾斜した音楽は深いのに、わかりやすいピアノ音楽にしている。それはバーの客の耳を釘付けにさせた彼ならでは、ジャズ・ピアニスト寄りの魅力に等しい。
チッコリーニのピアノの音色は真珠のネックレスのように音の粒がきれいにそろっている。タッチに芯があり、ペダルを踏んでも決してぼやけないクールな趣きながら、気持ちを安らぐ花束のようだ。品番 34-18054 商品名 FR VSM C069-11664 アルド・チッコリーニ リスト・コンソレーション&伝説&愛の夢 レコード番号 C069-11664 演奏者 アルド・チッコリーニ 作曲家 フランツ・リスト 録音種別 STEREO ジャケット状態 M- レコード状態 EX 製盤国 FR(フランス)盤 カルテ(器楽) COLOR STAMP DOG、STEREO (120g)、Release 1972 -
理想的な演奏モデル◉フランスプレス ERATO STU70803 ピエール・アモイヤル、グシュルバウアー指揮バンベルク交響楽団 メンデルスゾーン・ヴァイオリン協奏曲
品番 34-18078 商品名 FR ERATO STU70803 ピエール・アモイヤル メンデルスゾーン・Vn協奏曲 レコード番号 STU70803 演奏者 ピエール・アモイヤル 作曲家 フェリックス・メンデルスゾーン 指揮者 テオドール・グシュルバウアー オーケストラ バンベルク交響楽団 録音種別 STEREO ジャケット状態 EX レコード状態 EX 製盤国 FR(フランス)盤 カルテ(協奏曲) BLUE&WHITE WITH BLACK LETTERING、STEREO (120g)、Release 1973 冒頭の有名なメロディーは「世界一美しい音で弾く!!」
「メンデルスゾーンのことは、どれくらい知っていますか?メンデルスゾーンを弾くときは、その人を想って心臓がトクトクします」
アモイヤルは良い演奏をするためには、楽譜を上手に読むだけではなくて作曲家のことを知らなければいけないと説く。
「あなたは繊細な感覚を持っていて、この曲の美しさを感じているけれど、この曲のどこが美しいのか?自分が演奏しているものは何なのか?ということをわかっていない。あなたの演奏は、音符の列にしか聴こえない」
ただそれは、作曲家の生い立ちを学習するということではなくてメンデルスゾーンについて調べて彼の理解を深める事で、恋愛感情を持つほどに好きになれというのです。
「そして気に入ったエピソードをみつけてください。そうすればハートから音楽が出てきますよ。」
アモイヤルのマスタークラスで、そう教えられた少女は言われた意味はわかったかしらね。アイドルに恋したり、アニメのキャラクターを理想とする少年、少女は多いから疑似恋愛が音楽の表現、音楽にかぎらず芸術性の表現力を育むのでしょう。最後のカデンツァ終わりに出て来るオクターブについて。
「これはたくさんの鐘の音です。教会の鐘の音。私たちは1時間ごとにあちらこちらから鳴る鐘の音を聴いています。日本の鐘はゴーン・・・と1回だけですね」
モーツァルトの育った環境では15分毎に教会の鐘の音が聞こえていたといいます。生活のリズムを作っていた、それは自然と体内のリズムとなってモーツァルトの音楽が15分、30分の曲が多い理由なのだとか。
今では除夜の鐘さえ聞き取れない日本の生活環境。幼いころはお昼にお寺の鐘が鳴るのが聞こえました。耳を澄ませば離れた場所のお寺の鐘も聞こえてきていました。ゴーンと一回なので、鐘の音に包まれるという体験は稀でしょうね。奈良や京都では今でも、まだ違うかしら。門外不出だったヴァイオリン練習法
さて、アモイヤルはハイフェッツの弟子。彼が、その美しいヴァイオリンの音色のためにいかなる日常の練習をしているかがわかったところで彼が師に教えを仰いだ時に、その天才ハイフェッツが後進を育てる際に全員に課したというのがハイフェッツの音階練習。
- 基本は普通の重音の音階練習
- ポジションをチェンジするときに基音をグリッサンドする
- 1オクターブを往復したら調を変える
- 全調終えたら度数を変えていく
五嶋みどりさんも、朝起きたら2時間は音階の練習を繰り返すという話でした。それは一日で最も大切な日課で、欠かしたことがないと。その日の体調や楽器の調子がわかるんでしょうね。
アモイヤルの練習法は、①ヴィブラートなしのスケールを45分。②ヴィブラートを一切かけずにバッハ・3度の練習・自分の課題曲など2時間練習。③ようやくヴィブラートありで曲を練習。という順で練習することをたいせつだとしています。
その努力あって、ブレのない美しい演奏が聞き馴染んだ名曲を新鮮な楽しみに変えているのでしょう。後回しになりましたが、名手アモワイヤルの美しい演奏を名曲で堪能できるレコードです。メンデルスゾーンの流れるようなメロディが、キリッとした歌い口で再現されます。伴奏もとても素晴らしく充実していて、ソロとのバランスと言い理想的な演奏だといえるでしょう。


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時空を超えて届く音楽◉英プレス PHILIPS CFL1000 トーマス・ビーチャム指揮ロイヤル・フィル モーツァルト・レクイエム
品番 34-18045 商品名 GB PHIL CFL1000 トーマス・ビーチャム モーツァルト・レクイエム レコード番号 CFL1000 演奏者 エルシー・モリソン モニカ・シンクレア アレクサンダー・ヤング マリアン・ノヴァコフスキ 作曲家 ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト 指揮者 トーマス・ビーチャム オーケストラ ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 録音種別 MONO ジャケット状態 M- レコード状態 EX 製盤国 GB(イギリス)盤 カルテ(宗教音楽) PLUM WITH SILVER LETTERING、MONO (170g)、Release 1957 渋い中にもビーチャムのセンスが光っている
ロンギヌスの槍が重要なキーワードのオペラの話をしていたら、日本人に西洋の宗教音楽がわかるはずがない、そう男に言われた。日本人が全員仏教徒ではないし、あなたは違う宗教観がなのだろうか。
アメリカ人が月面歩き回った時の各宗教の反応ってのがちょっと調べてみたいという声も有る。その宗教に対する姿勢が、敬虔な演奏家には大きなフィルターとなるのかな、と感じたのがこのレコードの演奏だった。
あの強大な存在である怪物が至って真面目な音楽を聴かせてくれる。ただし、そこは独墺系の演奏家ほど重厚ではありませんが、渋い中にもビーチャムのセンスが光っています。ビーチャムならディーリアスという図式が強いですが、モーツァルトを聴いて下さい。もしビーチャムをまだ知らないのでしたら。
大富豪の家に生まれたビーチャムは、その持っていた財力をすべて大好きだった音楽に注ぎ込むことのできた幸福な人だった。彼は自身の財産を投じてオーケストラや合唱団、歌劇組織を創設したが、それが現在でも活動を続けているロンドン・フィルやロイヤル・フィル、ナショナル・オペラだ。
ビーチャムは音楽を正式に学んだことは一度としてなく、全て独学だったが、それでいて、指揮者として楽員に心底尊敬され、どちらのオーケストラもイギリス屈指のオーケストラに育て上げた。ここは大事なところ。
趣味の拡大ではなくて天性の音楽家が、たまたま大金持の家に生まれ、好きなだけ使えたお金を「正しく」使ったということだ。半世紀以上にわたって活動を続け、彼の「財力と指揮活動」によってイギリスに紹介された作品も数多い。
いや、偉大な趣味人だったのかも。ビーチャムは職業指揮者ではないので、ビーチャムの音楽観でまとめられた録音ばかりだ。批評家が何を書こうが怖くなかったし、人気と支持を受け続ける必要などなかった。自分が育てた庭の果実を味わうだけで良かったのだから。
そうした指揮者の残したものだからこそ特別な空間を生み出すモーツァルトで、その伸び伸びとした音楽を満喫できる。モーツァルト作曲 鎮魂歌 K.626
トマス・ビーチャム卿 指揮 ロイアル・フィルハーモニック管絃楽団 BBC合唱団
エルシー・モリソン:ソプラノ
モニカ・シンクライアー:コントラルト
アレクサンダー・ヤング:テナー
マリアン・ ノーワコフスキー:バス1954, 55年頃の録音
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「雪どけ」の音楽◉英プレス FONTANA SCFL136 オイストラフ&スターン、オーマンディ指揮フィラデルフィア管 ヴィヴァルディ・2台のヴァイオリンと弦楽合奏、通奏低音のための協奏曲集
品番 34-18047 商品名 GB FON SCFL136 オイストラフ&スターン ヴィヴァルディ・2Vn&Str&Cemb協奏曲集 レコード番号 SCFL136 演奏者 ダヴィッド・オイストラフ アイザック・スターン ウィリアム・R・スミス 作曲家 アントニオ・ヴィヴァルディ 指揮者 ユージン・オーマンディ オーケストラ フィラデルフィア管弦楽団 録音種別 STEREO ジャケット状態 EX レコード状態 EX 製盤国 GB(イギリス)盤 カルテ(協奏曲) PLUM WITH SILVER LETTERING、STEREO (170g)、Release 1961 雪が融け、到来する春を言祝ぐような音楽。
二人の巨匠が同時に颯爽と登場する瞬間はゾクッと肌の毛が逆立ってしまうほどの感動を覚えます。
太くて深々としたオイストラフ、輝くように躍動するスターン。オーマンディが率いるフィラデルフィアサウンドの美麗な弦楽アンサンブルの音。
東西両巨匠のオイストラフとスターンが第1、第2ヴァイオリンを2曲ずつ分け合った、まさに夢の競演というにふさわしい演奏。
二人の演奏スタイルの違いを聴き比べることも興味深いものですが、なによりも両巨匠の貫禄がせめぎ合い切磋琢磨し、驚くべきことに長年共演してきたかのように息の合った演奏を聴かせます。そして、協奏曲の伴奏が巧いオーマンディだけに2人のヴァイオリニストの長所を引き出す名人芸は実に素晴らしい。この二人の縁はなんぞやと思って調べてみました。ふたりともロシア生まれのユダヤ系ですが、スターンは1歳のときにサンフランシスコに家族が移住したのでアメリカ出身といってよい。スターンは51年のエリザベス国際コンクールに優勝。その時の審査員のひとりがオイストラフ。こうして出会ったふたりが、オイストラフのセンセーショナルな米国デビューツアーの際、セッション録音を組んだというものです。
1954年スターリンの死去とともにソ連では自由化の雰囲気が顕著となります。「雪解け」という表現が日常語になるのはこの頃、これをいち早く反映した小説「雪どけ」に由来します。
この時に、東西冷戦のベールに覆われていたソ連の音楽家が西側に次々と登場してきます。オイストラフはその先頭を切って55年に米国デビューを果たします。このLPはその時分に録音されたものです。ユニークにも思える取り合わせの演奏が録音された時期で、LPレコードが面白いと思える一つです。また、ランパルとスターンが2台のヴァイオリンのための協奏曲をフルートとヴァイオリンで演奏したものをちょっと前に案内していますが、ランパルが一方のヴァイオリン・ソロをフルートで演奏したスターンとの2つのヴァイオリン協奏曲集は明るく優雅で輝きを放つ音色が新鮮な魅力を持つ演奏です。
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聴いてほしいことが有る◉仏プレス Concert Hall Society SMS2258 カール・シューリヒト指揮パリ国立歌劇場管 モーツァルト・交響曲第40番&36番「リンツ」
品番 34-18042 商品名 FR CHS SMS2258 カール・シューリヒト モーツァルト・交響曲40番&36番「リンツ」 レコード番号 SMS2258 作曲家 ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト 指揮者 カール・シューリヒト オーケストラ パリ国立歌劇場管弦楽団 録音種別 STEREO ジャケット状態 EX レコード状態 EX 製盤国 FR(フランス)盤 カルテ(交響曲) RED WITH SILVER LETTERING、STEREO (120g) 壮観という他はないシューリヒトのモーツァルト
淡々とした始まりから段々とテンポが速くなり、ぐいぐいと引っ張られていく。その勢いは語りかけたい強い思いが有るみたいで、不覚にも涙して聞いたことが何度かある。疾走するモーツァルトとはこういうことでしょうか。モーツァルトの音楽の底知れぬ凄さを教えられたように感じました。40番は大名曲だが、リンツのほうがこのレコードでは面白い。ミス・プリントかと思ってしまいそうなくらいに一流オーケストラでは無いパリ・オペラ座管が一糸乱れぬアンサンブルを聴かせるのも驚異的です。この演奏を聴かずして、モーツァルトを絶対に語れません。
パリ・オペラ座管とのモーツァルトの交響曲を聴いても分かるように、一流とはいいがたいオーケストラを振る時も、シューリヒトは自分の持てる力の全てを出しオーケストラに持てる力の全てを出させる。彼は団員たちを無理やり自分色に染めることはない。オーケストラ自体が有している音色の素朴な持ち味を十全に活かし、巧みにテンポを揺らしながら表情付けを行い、なぜこのオーケストラがこのような演奏をすることが出来たのだろうと思うことが録音されて半世紀経っても聴くことができるからレコードを聴く楽しみは飽きない。
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前につんのめりそうで思わず手を助けてあげたくなるのがたまらない魅力◉英プレス Concert Hall Society SMSA2246 カール・シューリヒト指揮バイエルン放送交響楽団 ワーグナー前奏曲集
品番 34-18041 レコード番号 SMSA2246 作曲家 リヒャルト・ワーグナー 指揮者 カール・シューリヒト オーケストラ バイエルン放送交響楽団 録音種別 STEREO ジャケット状態 EX レコード状態 EX 製盤国 GB(イギリス)盤 カルテ(管弦楽) PLUM WITH SILVER LETTERING、STEREO (130g)、Release 1967

音楽の核のみを掘り出したような高純度のワーグナー。
シューリヒト以外の何人にもなしえなかった、希少なシューリヒトのワーグナーの中でも白眉と言える神品です。
まさにオンリーワンのワーグナー演奏で、「マイスタージンガー」よりの3曲はアタッカで演奏されています。他の曲と同様にシューリヒトのテンポは総じて速めで表現も簡潔であるため、ロマン派の音楽とは方向性が異なるのではないかと思われがちですが、外面では表すことのできない音楽の本質が実は語られているのであり、このワーグナーも例外無くシューリヒトによるひとつの真実の結実です。
コンサートホール音源には、演奏の面白さや斬新さと共に良く語られることのひとつに音質というか録音の品質にデメリットがあったのも事実です。つまりはエンジニアや機材、ときに場所により左右する音質の非均一さは如何ともし難いものがありました。でも、そこが1960年代のアナログレコードを聴く時の楽しみでもあり、同時期の大レーベルのレコードを聞くのと違う発見を見つける喜びがあります。
CDと合わせて聴くことでアナログレコードの凄みを感じるのはこういうことです。
特にステレオ厚手盤は音質がすこぶる良く、ここまで痛快なワーグナーはシューリヒトでしか出せない持ち味です。1961年9月 ミュンヘン録音
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女を使い熟した世渡り上手◉ GB FONTANA SFL14090 ミシェル・オークレール、クーロー指揮シュトゥットガルト・フィルハーモニー管 モーツァルト・ヴァイオリン協奏曲第4番、5番
品番 34-18044 商品名 GB FON SFL14090 ミシェル・オークレール モーツァルト・Vn協奏曲4番&5番 レコード番号 SFL14090 演奏者 ミシェル・オークレール 作曲家 ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト 指揮者 マルセル・クーロー オーケストラ シュトゥットガルト・フィルハーモニー管弦楽団 録音種別 STEREO ジャケット状態 EX レコード状態 EX 製盤国 GB(イギリス)盤 カルテ(協奏曲) DARK BLUE WITH SILVER LETTERING、STEREO (140g)、Release 1962

耳をくすぐるような魅惑的な演奏
ジャック・ティボーの寵愛も受けたミシェル・オークレールは1951年のアメリカ・ツアー、1958年にはソ連のツアーなどで成功を収めたのを頂点に世界中から引っ張りだこになりましたが、早々に寿引退してしまいます。なんとも潔いことだろう。その頃の録音は随分と力のこもった『女ティボー』と言われた通りの凄演だった。
演奏家としての現役時代に J.S.バッハから同時代の作品まで幅広くこなしていたオークレールは、そこそこの数の録音を残していますが入手しやすいのはフィリップス傘下のフォンタナ・レーベルに録音した一連のヴァイオリン協奏曲集。
この『モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第4番と第5番』の録音は、引退を間近に控えた1960年代の録音。この頃になるとオークレールの奏法はティボー譲りから、程よく力も抜け、サラリとフレーズを歌わせる自然体の芸風を身に着けて流麗な演奏を披露している。
そのちょっとした仕草に、なんともいえない芳しさがあり、このモーツァルトでも、耳をくすぐるような魅惑的な演奏で聴き手を飽きさせない。
伴奏するクーローの指揮するオーケストラは、常套的なのだが、それすらも退屈に聴こえさせない才気が充満している。『女ティボー』を引き合いに出すのは、この演奏には相応しくない。
ミシェル・オークレール (Michèle Auclair, 1924-2005) は、パリ音楽院でジュール・ブシューリの薫陶を受けたフランスのヴァイオリニスト。1924年の生まれ、1943年のロン=ティボー国際音楽コンクールのヴァイオリン部門の覇者である。
演奏活動から身を引いた後は母校であるパリ音楽院の教授に収まり、世界各国に出かけて教育活動に専念していました。1977年には来日してマスター・クラスを開いています。亡くなったのは2005年と最近のことです。彼女の活躍はヨーロッパ楽壇にその名を轟かせるに十分なものではありましたが、美貌や話題性での出逢いではなく自己表現の音楽として彼女の内包するものを受け入れた作曲家のアントワーヌ・デュアメルとの結婚を得て、それまでのジャック・ティボーからその才能を愛でられ一部のファンから呼ばれた「女ティボー」の渾名は必要なくなったのだ。
この『モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第4番と第5番』のアピールに『女ティボー』と言われた云々はそぐわない。彼女の音楽の変化を聴いていないような評価は、しいてはティボーの音楽の誤解を誘引しやすい事態を招いている。 -
レコードは新聞でもある◉オランダプレス PHILIPS SABL134 レナード・バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルハーモニック ショスタコーヴィチ・ピアノ協奏曲第2番/ラヴェル・ピアノ協奏曲
品番 34-18043 商品名 NL PHIL SABL134 レナード・バーンスタイン ショスタコーヴィチ・P協奏曲2番/ラヴェル・P協奏曲 レコード番号 SABL134 演奏者 レナード・バーンスタイン 作曲家 ドミートリイ・ショスタコーヴィチ モーリス・ラヴェル 指揮者 レナード・バーンスタイン オーケストラ ニューヨーク・フィルハーモニック コロンビア交響楽団 録音種別 STEREO ジャケット状態 EX レコード状態 EX- 製盤国 NL(オランダ)盤 カルテ(協奏曲) MARRON WITH SILVER LETTERING、STEREO (160g)

檄速に爽快感を覚える。ショスタコーヴィチを感動させた演奏。
バーンスタインがニューヨーク・フィルハーモニック(NYPO)を率いてモスクワで《交響曲第5番》のコンサートを行なった。そのステージで仲良くショスタコービッチと握手しているジャケット写真の《交響曲第5番》は評判がとても良い。
ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第2番を弾き振りした、バーンスタインの恣意的( Arbitraire )なくらいの快速なテンポは心地良く大衆を虜にした。
それはスポーツに酔いしれて熱狂するのに似ている。若き日のバーンスタインならではの求心力は魅力的である。これを音楽の表敬訪問だと、表情をしかめる人も居るだろう。これは米ソ冷戦当時、東西の間に鉄のカーテンがあった時代のレコードだ。
でも、これもアメリカン・ドリームを地で行く若くて評判の良い指揮者が、20世紀の陰の部分にはひたすら目を瞑り、彼の評価の根拠にあるミュージカル映画のように分かりやすく興奮度の高い演奏を大衆に提供し、無知な大衆はそのスポーティーさに酔い、アドレナリンを放出した気持ちのいい音楽、聴き手をワクワクされる音楽が、いい音楽なのだ。そこにショスタコーヴィチその人は感動したのだろう。
そしてアメリカの国民的音楽番組では、プレスリーの腰から下をテレビカメラに写らないようにしたり、ビートルズが出演したとも発言が注意されたり、ドアーズのヒット曲はマリファナをイメージされるからと歌詞の変更が強要されていた。アメリカでさえ、まだ、そういう時代だ。一人の若い音楽家が指揮台で飛んだり跳ねたりをして見せているのを大人たちはどう観ていただろうか。
一種エンタテインメントの対象だった指揮者には、うってつけの役回りだったのであろう。
まだ、その当時ショスタコーヴィチは現代の音楽家である。それが同じ時期の《展覧会の絵》の録音では、この時にひかえた反動なのか自身作曲家でも有るバーンスタイン流の皮肉たっぷりに発奮されている。 -
英プレス COLUMBIA SAX2373 オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニア管 ベートーヴェン・交響曲5番
品番 34-18027 商品名 GB COL SAX2373 オットー・クレンペラー ベートーヴェン・交響曲5番 レコード番号 SAX2373 作曲家 ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン 指揮者 オットー・クレンペラー オーケストラ フィルハーモニア管弦楽団 録音種別 STEREO ジャケット状態 EX レコード状態 EX 製盤国 GB(イギリス)盤 カルテ(交響曲) “MAGIC NOTES IN SEMI CIRCLE”WITH BLACK LETTERING、STEREO (150g)、Release 1960 5/7 -
蘭プレス CBS D37800 グレン・グールド ブラームス・バラード&ラプソディ













