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リリー・クラウスの絶頂期の記録

日本人が愛するモーツァルトの名盤を、日本軍によって失っていたかもしれない。拘留され第二次世界大戦終結まで軟禁された女流ピアニスト。
通販レコードのご案内《仏ディスコファイル・メタル使用盤》US HAYDN SOCIETY HS9056 リリー・クラウス モーツァルト ピアノ奏鳴曲K.457/K.284/K.475
ディスコフィル・フランセ録音

モーツァルト弾きとして知られるリリー・クラウスの最高傑作盤です。米ハイドンソサエティの本盤は、晩年の米国コロムビア盤と比して若い所為か情熱を内に秘めた、生命感に溢れる演奏です。 他のピアニストと比べると、自由自在なテンポ設定でフォルテは強いタッチで鳴らし非常に個性的です。
- ピアノソナタ第14番 ハ短調 K.457
- ピアノソナタ第6番 ニ長調 K.284
- 幻想曲 ハ短調 K.475
モーツァルトの音楽の持つ多様性を過不足なく的確に表現し、このフレーズはこうでなくては、と云うまさに正鵠を得た最高の演奏を聴かせてくれる。演奏家は身体で勝負するだけに、心身の衰えを如何にカバーしていくかが難しい。特に女性の場合、多くはそれに結婚・出産などが重なる。全身全霊を傾けた命がけの演奏家として、宇野功芳氏が挙げるのはアルゲリッチ、デュ・プレ、チョン・キョンファそれにリリー・クラウスと、みな女性だが長く第一線を保ち続けたのはクラウスぐらいで、彼女を驚異と宇野氏は捉えている。
彼女らは、いわゆる女性的なものを押し出さず、火のような情熱と作品に切り込んでいく深みにおいて男性奏者に匹敵する。しかし、このまま死んでもいいというほどの燃え尽き方を男性奏者は絶対にしないものではないか。ハンガリー生まれのリリー・クラウスは「モーツァルトは燃え立つ火です」と語っているが、クラウスの演奏にはパッションの炎が確かに感じられる。当時の演奏家としてはテンポの緩急の巾が大きく、ダイナミクスの変化にも激しさを見せるのは、内面から湧き上がる情熱が自然体として表層に上がってきた音楽で、現代の演奏家が大ホールに響き渡るような派手なパフォーマンスを恣意的に行っているものとは根本的に異なるものです。
ハ短調ソナタ K.457このソナタは、幸福感に満ちたK.330からK.333の4曲に続いて作曲された作品で、きわめて劇的な性格を持ったソナタであり、後のベートーヴェンにもっとも強く影響を与えた作品だといわれています。また、このソナタはK.475の《幻想曲ハ短調》とセットで演奏されることが多くて、その関係が昔からいろいろと取りざたされてきた作品でもあり、このレコードでも第6番を挟んで演奏されています。モーツァルトが2曲をその順序に組み合わせて出版したためでもあるのですが、しかし、両曲とも途中に明るいハ長調の部分があるにしても、基調はハ短調で深刻な情緒が支配的ですから、《幻想曲》だけ切り離して演奏したほうが効果的だという説も少なくありません。 モーツァルトが活躍した当時のコンサートではソナタの演奏に先立って幻想曲風の即興演奏を披露する事がよくあったそうです。このハ短調ソナタはモーツァルトの弟子であったトラットナー夫人のために書かれたもので、同じ調であるハ短調の幻想曲は彼女がコンサートで演奏するときのために、前半で披露する即興演奏のものとしてあらかじめ作曲したものではなかったのかというのが現在の定説となっています。手本としてモーツァルトが譜面にしたためた幻想曲を、夫人がいかに即興演奏としたかは想像を出ませんが、しかし、当時のピアノの可能性を限界まで使い切ったと思えるほどに広い音域とダイナミックな音量が求められるこのソナタを提供されたトラットナー夫人はそれなりの技量を持った女性であっただろうことが想像されます。 第6番のピアノソナタは、オペラの上演のために冬を過ごしたミュンヘンでデュルニッツ男爵からの注文に応えて作曲した、19歳の時の作品です。ニ長調という性格からも、明らかにハイドン風の特徴を持っていますが、今までの即興演奏などでため込んできたあれこれのアイデアをここに凝縮してまとめたものと思える、規模が大きく、まるで交響曲をピアノ用に編曲したような風情だといわれてきました。また、第3楽章の大規模な変奏曲形式はモーツァルトのソナタとしては他に例がなく、厳格な父レオポルドもこの作品をとても高く評価していました。とりわけ33小節にも及ぶアダージョ・カンタービレの第11変奏は本当に美しい音楽です。 ベートーヴェンに影響を与えた強烈なソナタと、即興演奏の風情のあるピアノ作品を組み合わせた、リリー・クラウスの演奏はモーツァルトの書いた音符を正確にバランスよく響かせることに意を注ぐのではなくて、モーツァルトが音符を使って書いた「心のドラマ」を再現しようと言うものです。譜面をめくる音も聞き取れることから、細切れの録音ではなく何回かテイクをとって、そのうちベストのものを採用しているようです。そのことも、このレコードの価値を高めているのかもしれません。彼女の演奏に虚心坦懐に耳を傾ければ、モーツァルトがこの音楽にこめた深い感情がヒシヒシと伝わってきます。そして、「人生は美しい、人生は生きるに足る」というモーツァルトのささやきが心に染みいってきます。リリー・クラウスのピアノはくっきりとしたフレージングで、モーツァルトのピアノ・ソナタなどは最近よく聴くような軽やかで透明感があるようなものとはまったく違って、正統派にして刺激的な歯ごたえがある。神経質では無い思い切りの良さが有る意味〝男性的〟ですが、モーツァルトに対する途方も無く深い愛情を本質に持つので、どの曲を聴いていても少しも飽きることなくモーツァルトの音楽がどんどんと心の中に浸みこんで来ます。
1956年パリ録音。通販レコード詳細・コンディション、価格
プロダクト
- レコード番号
- HS-9056
- 作曲家
- ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト
- 演奏者
- リリー・クラウス
- 録音種別
- MONO
コンディション
- ジャケット状態
- M-
- レコード状態
- M-
- 製盤国
- US(アメリカ合衆国)盤
“Haydn Society” DARK GREEN WITH SILVER LETTERING, MONO 1枚組 (170g), Stamper 仏ディスコファイル メタル XTV 使用盤。通販レコード
詳細の確認、購入手続きは品番のリンクから行えます。- オーダー番号34-25929
- 販売価格5,500円(税込)
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民族音楽への興味 ― 歌というものに対して不親切な時代における、ひとつの光明だ。

旋律は音楽の魂である。

“3大ヴァイオリン協奏曲”というのがある。ベートーヴェン、メンデルスゾーンに、ブラームスかチャイコフスキーの、何れかが挙げられる。 ― 3曲目が難しいので、“4大”にすると激論にならない。しかし、ほかにもヴァイオリン協奏曲には名作が数多い。
“10大”となれば必ず入選するのが、ドイツの作曲家マックス・ブルッフの代表作、ヴァイオリン協奏曲第1番だ。 -
“Refuge in Music” クラシック音楽のごちそうさん 110歳の天寿

Farewell Alice Herz-Sommer! We are saddened to hear that the visionary musician and survivor of the Theresienstadt concentration camp died yesterday. Her love of music and belief in its power brought solace and hope to many in one of history’s darkest hours.
Daniel Hope interviewed Herz-Sommer just a few months ago as part of the documentary “Refuge in Music”, a tribute to the musicians of the concentration camp “Terezin”. You can learn more about the film here: http://bit.ly/TerezinDVD
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指揮者クラウディオ・アバドをしのんで

音楽を楽しむ。それがピシっとした指揮姿から良く感じられたクラウディオ・アバドが亡くなって今月20日で、ひと月となる。
エグモントの音楽
BSプレミアムでは2014年2月10日、2つの演奏会が放送された。
前半は2012年のルツェルン音楽祭から、演奏会の様子は9月2日に Medici.tv で放送された。演奏会は8月10日。全体的にまだらな空白が客席に目立つのはマーラーの交響曲第8番からベートーヴェンの『エグモント』とモーツァルトの『レクイエム』に変更になったからだろう。この二曲なら大きいホールは必要ではなかったと思えるように、音響が遠い。迫力は薄めだけど、その分残響に助けられて聴きやすい。前半のベートーヴェンは、序曲は聴きなじんだもの。期待通り、セオリー通りの音楽となっていた。ソプラノのユリアーネ・バンゼのグレートヒェンは清楚な印象。ブルーノ・ガンツは語りで PA を使用したものでしたが全体整っていて違和感はなかった。
オーケストラの中にクラリネットのザビーネ・マイヤーを見つけた。
後半のレクイエムはオーケストラも加わったことで、前半の音響はかなり改善されている。ただ合唱の響きがオーケストラを圧するところがある。でも、キャパが大きい効果か澄んだ音楽に仕上がっている。
モーツァルトと弟子たちの共作としての《レクイエム》
ソプラノはアンナ・プロハスカ。バスはルネ・パーペ。テノールのマキシミリアン・シュミットはペーター・シュライアーを思い出させる。アルトのサラ・ミンガルドも理想に合う。リヒターが指揮した『レクイエム』の大好きな録音に並ぶ。
『レクイエム』はモーツァルトの最後の未完の作品であるのはご存知でしょう。自筆で残っているのは最初の2曲のみ。あとは弟子に口述して引き継がせました。あちらこちらにモーツァルトが完成していたら、もっと違う音楽に広がったんじゃないかなと思えるポイントが有ります。アバドはそういう期待も思わせながら、モーツァルトが描き上げた部分も書き上げなかった部分も一体とした音楽を作ります。
多くの録音が前半、後半と切り替える雰囲気があるのにアバドはアーメンをブリッジにして後半に音楽の気持ちを引き継いでいる。各曲を細切れにすること無く本来のプログラムがマーラーの千人の交響曲だったことを思い起こさせた演奏になった。
永遠の安息を、そして永遠の光に
現代の時間の中で再構成されたモーツァルトの音楽といえるだろう。言い換えれば、古楽演奏を学びとはしているけれどもモダン・オーケストラで楽しく聞かせていると言えば分り易いだろうか。
この演奏は現代音楽の響きに馴染んだ耳も楽しませる。もし《レクイエム》かぁ、と食指を伸ばさなかったままだったら後半だけでも聞き返して欲しい。もちろんいろいろなモーツァルトのレクイエムを聞いてきていたら、複数の版があるのを面白く並べ替えているというパズル的興味も持たされる。
最後のアーメン・フーガがまるごとカットされていて、そのかわり無音の中でアバドは一分間指揮棒を旨に抱いたまま黙祷する。
死は嘆き、省みるものではなくて生きている人が先に進むためにあるものなのです。
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Maria Callas, 1963

『マリア・カラスの真実』(フランス2007年。日本では2009年公開)は、マリア・カラスの生涯に焦点を当てたドキュメンタリー映画です。
有名なオペラ歌手ですが、後年、睡眠薬大量摂取での自殺未遂、睡眠薬や興奮剤を乱用し、肺血栓で53歳で亡くなりました。
なぜ、命を縮めるようなことを行い、50代という若さで亡くなったのでしょうか。映画は彼女の生涯を追います。
母親は男の子を望んでいましたが、生まれたのは女の子マリア。失望した母親は4日間も受け取りを拒否・・・マリアの兄が2歳で脳膜炎で亡くなり、母親は次の子は男の子を、と青い産着まで用意したそうです。
歓迎されず、居場所もありませんでした。6度の引っ越し。セールスマンの父は不在がち。家族団欒もありません。ハーレムの近くに引っ越しますが、母親は環境に馴染ませようとせず、部屋に閉じ込め、通りで遊ぶことも禁じました。
マリアは自分を無口で汚いと思っていて、学校では友人がなく「友達と遊んでも楽しくなかった」と彼女は語ります。
唯一の友、飼っていた小鳥に歌っていたマリアの歌の才能に気づいた母は条件付きで愛するようになります。
また母親は、自身の大女優になる夢を押し付けた部分もあったようです。映画の中でマリアが語ります。
「自分で決めた道ではなく、家族が決めた。家族と摩擦を起こさない為、従うしかなった」
「母がレールを敷いた。母は仕切っていた」
「親の代わりに出世しろ」
「お前の為に犠牲を払った」
「母からお金をくれないと新聞にぶちまける、と強請られた」とまで語る。そんな母親 を、晩年まで許せなかったそうです。映画は「この世に彼女の居場所はない。声だけが残った。」というナレーションの後、彼女の歌声で幕となります。
Maria Callas, 1963, in Paris, accompanying herself on the piano.
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NL CBS D37294 モンセラート・カバリェ ズービン・メータ ニューヨーク・フィルハーモニック ワーグナー・オペラ抜粋
NL CBS D37294 モンセラート・カバリェ ワーグナー・オペラ抜粋
商品番号 34-14508
通販レコード→蘭 “CBS RECORDS MASTERWORDKS” ブルー・レーベル黒文字盤 STEREO DIGITAL
メータ/ニューヨーク・フィルの雄大なサポートを得て、輝きに満ちたカバリエの声は、ワグネリアン・ソプラノとしての新たな領域を開いた。 ― オペラ歌手のアリア集やリサイタル盤は、大抵の場合、その歌手の得意なレパートリーで飾られているが、時には舞台では滅多に歌わない、或いは歌ったことのないレパートリーで聴き手を大いに楽しませてくれるレコードもある。モンセラット・カバリエが歌ったこのワーグナーは、それもとびきり興味深い1枚といって良いだろう。曲は楽劇「トリスタンとイゾルデ」より前奏曲と〝愛の死〟、歌劇「さまよえるオランダ人」より〝ゼンタのバラード〟、歌劇「タンホイザー」より〝貴き殿堂よ〟、楽劇「神々の黄昏」より〝ブリュンヒルデの自己犠牲〟 ― 素晴らしい美声と豊かな声量、そして絶妙な技を合わせ備えたカバリエは、イタリア、フランス・オペラだけでなく、ドイツ・オペラにも定評があり、大変に幅広いレパートリーを誇っている。彼女のファンならば、カバリエにリヒャルト・シュトラウスの「サロメ」からのモノローグと歌曲を歌ったレコードがあることを、また実際にも彼女が舞台で「薔薇の騎士」「ナクソス島のアリアドネ」そして「サロメ」などを歌っていることも御存知だろう。ただ、ワーグナーとなると ― 本盤が発売された頃の日本で知り得る情報では ― 「タンホイザー」のエリーザベトと「ニュルンベルクのマイスタージンガー」のエヴァを歌ったという記録だけで、それも彼女のデビュー間もない1950年代末から60年代初めのことである。それだけに、カバリエがワーグナーを歌って、それも「さまよえるオランダ人」のゼンタ、イゾルデ、ブリュンヒルデまで歌って1枚のレコードをつくるとは、夢にも思っていなかったのだが、円熟期にあったその歌唱は、お聴きのようにとても素晴らしい。彼女に合った「タンホイザー」のエリーザベトの「貴き殿堂よ!」は勿論だが、「イゾルデの愛の死」におけるその美声と絶妙な技を駆使した繊細な表現力、「ゼンタのバラード」における伸びやかな声と、特に祈りの表現の際立った美しさ、そして長大な「ブリュンヒルデの自己犠牲」を少しも弛緩させぬ的確な劇性と回想の部分での思いのこもった表現力など、いずれもカバリエならではの声と歌を堪能させてくれる。そして、そうしたカバリエの持ち味をよく心得たズービン・メータとニューヨーク・フィルハーモニックが、抑制のきいた表現でくっきりと歌を支えているのも好ましい。from 100年後でも聴いて楽しいアナログ名盤レコード https://ift.tt/2s4z0Et
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US NEW WORLD RECORDS NW326 ウェイスバーグ メータ ニューヨーク・フィル クラム「魔法にかけられた景色」、ウィリアム・シューマン「ホルンとオーケストラのための3つの会話」
US NWR NW326 ウェイスバーグ&メータ クラム・魔法にかけられた景色/Wシューマン・ホルンコレクション
商品番号 34-19825
通販レコード→米 “NEW WORLD RECORDS” レッド・ロゴ黒文字盤 STEREO DIGITAL
長岡鉄男A級セレクション ― 録音はダイナミック・レンジが特に大きく、ハイトランジェント、音場は三次元的に広く深く、歪み感ゼロ。NEW WORLD RECORDS はアメリカを代表する現代音楽レーベル。1975年に設立以来、アメリカの現代音楽文化を記録すると言う地道な仕事を続けている。非営利団体ということもあって商業録音では考えられないような作曲家&演奏家の組み合わせによるディスクも含まれており、現代音楽ファンならずとも見逃せないレーベルと言える。本盤は1985年録音で〝長岡鉄男A級セレクション〟に選ばれたことで、そのジャケット表紙のデザインとともに知られるレコード。ジョージ・クラム「魔法にかけられた景色」は大編成のオーケストラのための作品で、1984年に初演された。初期にはヴェーベルンに影響されたものの、次第にドビュッシーやバルトークの作風に触発されて例のない音色の探究や特殊奏法の徹底的な開発で知られ、演奏家に風変わりなやり方で演奏することも申し入れ、弦楽器やフルートを喋りながら演奏させることで有名。霧が立ち込める湿地帯をイメージさせる静寂の中に突然雷鳴が轟くと、突然巨大なモンスターが出現して、やがて再び霧の中へ姿を消していく。そうした音楽。ウィリアム・シューマンの「ホルンとオーケストラのための3つの対話」はホルン協奏曲だが、3つの楽章は切れ目なく演奏される。こちらも穏やかなソロの後につくられるクライマックスでの、ベルを含むパーカッションの大音響が印象的です。第1楽章「反芻(はんすう)」(Rumination)、第2楽章「リニューアル」(Renewal)、第3楽章「思い出」(Remembrance)と、それぞれ副題がありホルンのソロが縦横に歌われます。ホルンのソロは、フィリップ・マイヤーズ。難解で技術上も高難度な、この協奏曲を卓越したテクニックとタックウェルを思い出させる響きで魅了します。from 100年後でも聴いて楽しいアナログ名盤レコード https://ift.tt/2Lmu5Xq
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GB DECCA SXL6202 ズービン・メータ ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ブルックナー・交響曲9番
ウィーン・フィルのブルックナー。 ― スコアに含まれた〝歌〟を丹念に、耳にはっきり聴こえるようにクローズアップしていく録音。若きズービン・メータが29歳のときに、はじめてウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮した名演。1960年代ウィーン・フィルのデッカ録音の魅力全開。木管のソロは、スポットライトを当てるのも当然と言えるほどの美しさ。その美しさは煌びやかさや光沢の度合いではなく、特徴あるウィーン・フィルの楽器の音色をリアルな質感で捉え、ゾフィエンザールを満たすゆたかな響きを捉えた名盤です。この年の秋と翌年にデッカは、ウィーン・フィルとブルックナーの交響曲をゲオルグ・ショルティの指揮で第7番と8番。1969年にはクラウディオ・アバドと第1番。1970年以降に、カール・ベームと第3番と4番。ロリン・マゼールと第5番、ホルスト・シュタインと第2番と6番を録音し、ウィーン・フィルによるブルックナーの交響曲全集がデッカにより完結、日本でも国内盤でそれが売り出された。そのように発展していく最大の理由がこのメータの9番だったのだが、カラヤンの後継者に目されるほどの聴かせ上手だった若き日のメータは1962年からロサンジェルス・フィルハーモニックの音楽監督に就任。デッカ=ロンドンの売れっ子指揮者として、録音効果のあがるダイナミックな音楽ばかりで勝負していくことになる。メータとロサンジェルス・フィルが、UCLAのロイス・ホールでセッション・レコーディングで制作したアルバムは、どれも音質が良く、演奏も当時の彼らならではの勢いの良さとダイナミックな力強さが気持ちの良いものばかりで、そうした傾向と作品の性格が合致した場合は無類の心地よさを感じさせてくれたものでした。1959年にはウィーン・フィル、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団を指揮してデビューし、大成功を収めたのは若干23歳の時。いまや、コンサートのみならず、オペラにおけるレパートリーも広範にわたる。響きは豊潤、スケールは雄大であり、かつての巨匠指揮者を偲ばせる芸風である。メータはヴィルヘルム・フルトヴェングラーに私淑していたということなので、20歳でフルトヴェングラーがデビューした時にも指揮したこの曲に対し、並々ならぬそれを以って臨んだのではないかと思われる。比較的ゆったりとした演奏で、肉厚でなかなか壮麗かつ悠揚としたものになっている。ハンス・クナッパーツブッシュ、オットー・クレンペラー、カール・シューリヒトといった大御所が、まだ存命していた時期の録音。ハッタリのないブルックナーの交響曲第9番の快演盤のひとつで、壮麗なサウンドをもったいぶらずに輝かしく響かせ、まっとうなテンポと声部バランスによって作品の細部に至るまで丁寧に示しています。後期ロマン派における最大の交響曲作曲家の一人であるブルックナー。音楽もことさら深刻にならず、自然な流れの方が強く印象残る。まず本盤を選んだ理由は、英デッカ社の製作陣と録音場所に有ります。名前を聞いただけで良い音がする予感がします。ウィーンの残響豊かなソフィエンザールで、ジョン・カルーショーの残党レイ・ミンシャル&ジェームス・ロック、コーリン・マーフォート、ジャック・ロウが当時スターの階段を上っていたインド人メータを起用して入れたブルックナーということで … 。ダイナミックな迫力、ティンパニのクリアな轟き、躍動的なリズム、艶っぽい響き、同じヘルベルト・フォン・カラヤン&ウィーン・フィルとはまるで異なる聴き応えです。力感も十分あり、特にホルンは他のオーケストラでは聴けない独特の音色を思いっきり強奏させて痛快。強奏部でのブルックナー特有の同音反復の洪水の中に少しでもメロディックな動きが埋もれていると、そこは必ず、きちんと耳に届くように強調されていました。盛り上がりが一段落してやや静かな雰囲気に流れていくはずの部分で〝ハイドンの驚愕〟を髣髴させる強烈な一撃、新しいブルックナーの解釈かと思ったほどです。〝ブルックナーの9番〟という曲の性格とはちょっと違うのではないか、と思われるかも知れませんが、これは、楽曲の持つ許容の深さの中で十分ありえるアプローチでしょう。若いメータを迎えたウィーン・フィルとデッカ・スタッフが生み出した〝このときしか出来ない〟演奏だったのかも知れません。録音が良いから、ブルックナーが苦しみ抜いて世に説いた複雑怪奇な9番が、透けて聴こえるのです。from 100年後でも聴いて楽しいアナログ名盤レコード https://ift.tt/2KKp6ic
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GB DECCA SXL6489 ズービン・メータ ロサンジェルス・フィルハーモニック ブルックナー・交響曲4番
GB DECCA SXL6489 ズービン・メータ ブルックナー・交響曲4番
商品番号 34-17469
通販レコード→英ナローバンド ED4盤
ブルックナーの最高傑作に清新の息吹をあてるメータ=ロス・フィルの豊かな結実。 ― カラヤンの後継者に目されるほどの、聴かせ上手だった若き日のメータ。デッカ=ロンドンの売れっ子指揮者として、録音効果のあがるダイナミックな音楽ばかりで勝負して、悉くベストセラーを築いてきたコンビの1970年の録音。来日記念最新盤として1972年に日本では初発された。リヒャルト・シュトラウスや、「春の祭典」、「惑星」、「1812年」などと同じ頃の録音で、ズービン・メータとロサンジェルス・フィルハーモニックが、UCLAのロイス・ホールでセッション・レコーディングで制作したアルバムは、どれも音質が良く、演奏も当時の彼らならではの勢いの良さとダイナミックな力強さが気持ちの良いものばかりで、そうした傾向と作品の性格が合致した場合は無類の心地よさを感じさせてくれたものでした。ブルックナーの交響曲第4番『ロマンティック』もそうした快演盤のひとつで、壮麗なサウンドをもったいぶらずに輝かしく響かせ、まっとうなテンポと声部バランスによって作品の細部に至るまで丁寧に示しています。後期ロマン派における最大の交響曲作曲家の一人であるブルックナー。『ロマンティック』は、ブルックナーならではの個性が溢れた完成度の高い作品として知られています。ブルックナーの交響曲は版の問題が複雑ですが、この第4番はハース版による演奏。ずしりとした低音。はじけるようなティンパニ。輝かしい金管に、しっとりとした木管。そして抜けるように鮮やかな弦楽器。第1楽章から音楽は早めのテンポで颯爽と進むが、テンポの揺らしもなく真っ当なブルックナー。ホルンや金管の屈託ない響きが左右から掛け合う。弦は爽やかで気持ちよい。終楽章は逆に遅めのテンポをとり、複雑になった曲構成を丁寧に描き出す。クライマックスのホルンがテーマを咆哮している裏で刻まれる、オーケストラのリズムが混濁せずに聴こえるのもいい。一丸となったオルガンの響きにも似たオーケストレーションを、大健闘するロス・フィルのパワーでぐいぐい押し切っていくメータ。こんな耳のご馳走は贅沢な限りでして、いつまでも、どこまでもこのまま浸っていたいんです。演奏者も聴き手も明日はきっと明るいと信じることができる。壮大な音響に身を任せる快感。しかし、DECCAの録音は素晴らしい。弦の歯切れのよい進行に、普段は聴こえないトランペットがのっかってくるところなどDECCAならではのマルチマイクサウンドが威力を発揮している。なにがあってもくよくよするなと、最後まで前向きで豪快なサウンドが炸裂する。そして、ここのある音楽の音色の美感たるや、とてつもない魅力なんです。from 100年後でも聴いて楽しいアナログ名盤レコード https://ift.tt/2rXjYAf
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GB DECCA SXL6494 クラウディオ・アバド ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ブルックナー・交響曲1番
GB DECCA SXL6494 アバド ブルックナー・交響曲1番
商品番号 34-8755
通販レコード→英ナローバンド ED4盤
若き指揮者が描く成功への野心を聴く ― 後期ロマン派における最大の交響曲作曲家の一人であるブルックナー。第1交響曲はすでに40歳を超えた頃に書き上げられましたが、ブルックナーならではの個性が溢れた、完成度の高い作品として知られています。このアルバムは、1969年に若きクラウディオ・アバドがウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮して録音したもので、オーケストラの美しい響きを最大限に生かしながら旋律を朗々と歌わせて、明快で歯切れのよい演奏を披露している。アバドは、1966年2月~1969年1月の間、デッカにLP9枚分の録音を行いました。この時代のアバドは文字通りフレッシュな演奏をしている。アバドが最もアバドらしい時代の演奏群で、大変すばらしい演奏ばかりです。彼のデビュー盤はベートーヴェンの「第7交響曲」でした。今までこういった演奏をする人はおらず、聴衆には大変な刺激になったであろう事がよくわかります。その他、現在ほとんど演奏される機会の無いブラームスの『リナルド』、当時は野心的なプログラムだったブルックナーの「交響曲第1番」やヒンデミットの録音など、若き日のアバドによる劇的で鮮烈な名演が刻まれています。レコーディング・デビュー間もない若きアバドの溌溂としてロマンチックな演奏は、ここでは確かにウィーン・フィルには目立った破綻なく、録音も悪くない。完成したFFSSの真価が具現されている。メンデルスゾーンやモーツァルト、そしてベートーヴェンもだが大作曲家は、演奏の分野でも神童が数多い中、40歳を超えてようやく書き上げたブルックナーの交響曲第1番は、もっとずっと感動的な曲であろう。しかし、そこで聴かれる〝音楽〟は早めのテンポで、威勢は良いが、感性に乏しく乾いた印象を与える。アバドは若きブルックナーの新鮮な感性に満ちたこの作品を前にほとんど何のインスピレーションもなく振ってのけた。溌溂としていて、かといって華美に走らずとても気持ちの良い演奏です。若き指揮者にとって野心を抱けるものだったのか、アバドのブルックナーは第1、4、5、7、9番と録音されていますが、ブルックナーの交響曲の中でも演奏される機会の少ないこの第1番を好んで取り上げています。ブルックナーの交響曲は版の問題が複雑ですが、この第1番は大きく分けてリンツ稿とウィーン稿があります。ウィーン稿は作曲から25年後 ― 第8番第2稿より後に作曲者自身によって改訂されており、ウィーン稿の響きは初期の作品というより後期ロマン派を感じさせるものとなっています。アバドはリンツ稿を主に使用していますが、のちにルツェルン祝祭管弦楽団との2012年のライヴではウィーン稿を使用して、初期作品の活気ある雰囲気を残しつつも後期の洗練されたオーケストレーションを堪能出来るウィーン稿の良さをより味わえる演奏となっています。本盤はその、交響曲第1番ハ短調(リンツ版)の最初の録音。ワーグナーをも思わせるようなロマンティックな響き。この指揮者の作品を演奏する事への意欲とともに、非常に良いセンスと、作品の内容への完璧な理解力が備わっている演奏は、聴き続けて疲れず、聴き返して飽きない。そこには全く別の世界が広がっている筈だ。from 100年後でも聴いて楽しいアナログ名盤レコード https://ift.tt/2LhtdTN
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GB DECCA SXL6363 クラウディオ・アバド ロンドン交響楽団 メンデルスゾーン・交響曲3番「スコットランド」&4番「イタリア」
GB DECCA SXL6363 アバド メンデルスゾーン・交響曲3番「スコットランド」/4番「イタリア」
商品番号 34-21156
通販レコード→英ナローバンド ED4盤
若きアバドの溌溂としてロマンチックな演奏 ― クラウディオ・アバド若き頃のロンドン交響楽団との〝メンデルスゾーンの交響曲〟を聴いて特に感じられることには、若いっていうことは指揮者にとっても武器である時期があるようです。溌溂としていて、かといって華美に走らずとても気持ちの良い演奏です。アバドは、1966年2月~1969年1月の間、デッカにLP9枚分の録音を行いました。この時代のアバドは文字通りフレッシュな演奏をしている。アバドが最もアバドらしい時代の演奏群で、大変すばらしい演奏ばかりです。彼のデビュー盤はベートーヴェンの「第7交響曲」でした。今までこういった演奏をする人はおらず、聴衆には大変な刺激になったであろう事がよくわかります。その他、現在ほとんど演奏される機会の無いブラームスの『リナルド』、当時は野心的なプログラムだったブルックナーの「交響曲第1番」やヒンデミットの録音など、若き日のアバドによる劇的で鮮烈な名演が刻まれています。のちに首席指揮者、音楽監督を歴任することになるロンドン響での1967年録音。レコーディング・デビュー間もない若きアバドの溌溂としてロマンチックな演奏は〝メンデルスゾーンの交響曲〟の曲想とも合って名演となっています。アバドにとってメンデルスゾーンはお気に入りの作曲家のひとりのようでそれは、これらの2曲を1984年にも同じくロンドン響とドイツ・グラモフォンに再録音し、その時は交響曲全集を完成させていることや、『イタリア』に関しては1995年にベルリン・フィルハーモニー管弦楽団とも録音しています。また、『真夏の夜の夢』を複数回、さらに序曲集も録音していることからも容易に想像できます。そして、覇気に満ちながら、この作曲家特有の品のよさを崩さない演奏からも相性のよさを感じさせます。本盤はその、交響曲第3番イ短調『スコットランド』と交響曲第4番イ長調『イタリア』の最初の録音。この指揮者の作品を演奏する事への意欲とともに、非常に良いセンスと、作品の内容への完璧な理解力が備わっている演奏は、聴き続けて疲れず、聴き返して飽きない。この当時のものではペーター・マークと並ぶ名盤だろう。私がクラシック音楽を聴き始めて間もなく、颯爽と若き指揮者アバドはデビューし、LPでリリースされた数々のバレエ音楽の演奏は印象に残っています。それがメキメキ頭角を現して、やがてベルリン・フィルのシェフにまで登り詰めたわけです。大病後の生まれ変わったようなスタイルに驚き、独墺大作曲家のシンフォニー等でも一定の評価を得てはいましたが、私はかつて若きアバドがロンドン響を振ってのプロコフィエフの古典交響曲、バレエ音楽「ロメオとジュリエット」抜粋、バレエ組曲「道化師」等を聴いていました。この度、久しぶりに聴いたが、瑞々しい歌と響きに包まれた名演。この10年余り後のドイツ・グラモフォン盤の方が有名でスケールも大きくなっていて充実しているが、新鮮な息吹を聴く者にも吹きかける本盤の靭やかな感性と荒削りな情熱も捨てがたい。from 100年後でも聴いて楽しいアナログ名盤レコード https://ift.tt/2Iz80Dp
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GB DECCA SXL6398 クラウディオ・アバド ロンドン交響楽団 ヤナーチェック・シンフォニエッタ、ヒンデミット・ウェーバーの主題による交響的変容
GB DECCA SXL6398 アバド ヤナーチェック・シンフォニエッタ
商品番号 34-11184
通販レコード→英ナローバンド ED4盤
率直さの漲る表現で聴かせる若き日のアバドのシャープな感性が光る一枚です。 ― 特異な音楽語法を用いて作曲した近代チェコの作曲家ヤナーチェクによって民謡を素材にして晩年に作曲された、作曲家唯一の交響曲作品となった《シンフォニエッタ》、交響曲ふうの4楽章から成るヒンデミットの《交響的変容》を組み合わせた本盤は、クラウディオ・アバドがデビューして間もない頃に録音した近・現代オーケストラ作品集で、その解釈は指揮者の技量もよく分かる若さと緻密な計算が見事にバランスされた快演でした。アバドは、1966年2月~1969年1月の間、デッカにLP9枚分の録音を行いました。この時代のアバドは文字通りフレッシュな演奏をしている。アバドが最もアバドらしい時代の演奏群で、大変すばらしい演奏ばかりです。彼のデビュー盤はベートーヴェンの「第7交響曲」でした。今までこういった演奏をする人はおらず、聴衆には大変な刺激になったであろう事がよくわかります。その他、現在ほとんど演奏される機会の無いブラームスの『リナルド』、当時は野心的なプログラムだったブルックナーの「交響曲第1番」やヒンデミットの録音など、若き日のアバドによる劇的で鮮烈な名演が刻まれています。村上春樹の『1Q84』のモチーフになって一躍注目を受けた《シンフォニエッタ》は、ヤナーチェク独特の作曲語法をアバドがしっかりと咀嚼していることが伝わってくるので、ヤナーチェク初心者の方にもぜひおすすめしたい。1987年11月には、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団でドイツ・グラモフォンに録音している。本盤はその、最初の録音。この指揮者の作品を演奏する事への意欲とともに、非常に良いセンスと、作品の内容への完璧な理解力が備わっている演奏は、聴き続けて疲れず、聴き返して飽きない。私がクラシック音楽を聴き始めて間もなく、颯爽と若き指揮者アバドはデビューし、LPでリリースされた数々のバレエ音楽の演奏は印象に残っています。それがメキメキ頭角を現して、やがてベルリン・フィルのシェフにまで登り詰めたわけです。大病後の生まれ変わったようなスタイルに驚き、独墺大作曲家のシンフォニー等でも一定の評価を得てはいましたが、私はかつて若きアバドがロンドン交響楽団を振ってのプロコフィエフの古典交響曲、バレエ音楽「ロメオとジュリエット」抜粋、バレエ組曲「道化師」等を聴いていました。RCA盤に比べ入手しやすく、しかもコンディションも良く、バジェット価格の本盤はオーディオ再生のリファレンスによく使っています。湿度の高い時と乾燥した空気の中では、そのトランペット群の響きのニュアンスの変化を楽しんでいます。from 100年後でも聴いて楽しいアナログ名盤レコード https://ift.tt/2GuX5Zp
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DE DECCA SXL6386 クラウディオ・アバド ジェームズ・キング ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 アンブロジアンシンガーズ ブラームス・リナルド 運命の歌
ブラームスの秘曲ともいえるカンタータ ― アバド唯一のセッションになるブラームスの『リナルド』ではテノールのジェームズ・キングを起用して、決して息苦しくならない、むしろ明るい希望を予感させるオペラティックな表現に特徴がある。クラウディオ・アバドは、1966年2月~1969年1月の間、デッカにLP9枚分の録音を行いました。この時代のアバドは文字通りフレッシュな演奏をしている。アバドが最もアバドらしい時代の演奏群で、大変すばらしい演奏ばかりです。彼のデビュー盤はベートーヴェンの「第7交響曲」でした。今までこういった演奏をする人はおらず、聴衆には大変な刺激になったであろう事がよくわかります。その他、現在ほとんど演奏される機会の無いブラームスの『リナルド』、当時は野心的なプログラムだったブルックナーの「交響曲第1番」やヒンデミットの録音など、若き日のアバドによる劇的で鮮烈な名演が刻まれています。ブラームスの秘曲ともいえるカンタータ。後年、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団でヨナス・カウフマンをソロに迎えてのライヴもあるので思い入れがあったのだろう。本盤はその、最初の録音。ブラームスは、いうまでもなくオペラを書かなかった作曲家で、それどころか表題音楽的な作品も非常にすくない。そんなブラームスの、オペラに一番近いジャンル作品がこのカンタータ。ブラームスの30歳台の作品で、「ドイツ・レクイエム」と同時期。『リナルド』の原作は、ゲーテの詩による。聖地へ向かう航海の途上、魔法使いのアルミーダの誘惑にとらわれてしまう十字軍に参加した戦士リナルド。それを励ます仲間たちに助けられ、次第に彼を愛するようになったアルミーダも共に解放し、妃として一緒に帰還する、ハイドンやグルックもオペラとして取上げている物語。オーケストラと合唱とテノールのためのカンタータで、明快で聴きやすい。アルミーダ役の女声と対話するわけではなく、当然、どこをどう聴いても、ブラームスの響きがする。かなり謹厳な音楽をキングが楽しみやすく和らげている。普段ワーグナーやリヒャルト・シュトラウスで聴きなれた、劇場向けの解放的な歌声が時として顔を出す。劇的というより〝演劇的〟な傾向で聴かせる、若き日のアバドの名演のひとつ。宗教作品でもないから、思ったほどの取っ付きにくさはなく、美しい旋律も豊富。アバドとキングの唯一の貴重な競演。健康的で明朗かつヒロイックな独唱、渋くしかし雄弁に語る合唱団(アンブロジアンシンガーズ)、安定感のある響きと各パートの個性的な音色が魅力のオーケストラ(ニュー・フィルハーモニア管弦楽団)、の三者を着実にしかもスケール大きく纏め上げているストレートでわかりやすい、若手指揮者らしい表現とも言える。アバドが好むヘルダーリンの詩による伸びやかな作品「運命の歌」は、真摯さや誠実さはこの頃から変わりなし。また合唱団の〝厚さ〟は『リナルド』同様に強烈なインパクトを与えてくれる。都合3度録音していて、どれもが素晴らしい演奏。ベルリン・フィルの退任コンサートでの演奏などは、涙を誘う名演なのだ。from 100年後でも聴いて楽しいアナログ名盤レコード https://ift.tt/2Iw73M8
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DE DGG 2530 790 マウリツィオ・ポリーニ クラウディオ・アバド ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ブラームス・ピアノ協奏曲2番
イメージを一新、明るく透明感にあふれたブラームス ― ブラームス全盛期の作品であるピアノ協奏曲第2番は、その規模の大きさや桁外れの難技巧で知られる50分を要する大作です。20世紀最高の名手のひとり、マウリツィオ・ポリーニがバリバリの超絶技巧でショパン、シューベルトから新ウィーン楽派作品に至るまで圧倒的な演奏を聴かせていた頃のレコーディング。若きポリーニと、着実に名指揮者としてのキャリアを構築していたクラウディオ・アバドによるドイツ・グラモフォン共演第2作アルバムです。アバドとポリーニの共演で1976年に録音されたブラームスのピアノ協奏曲第2番。生ける伝説、ピアノ界のミスター・パーフェクトによるブラームスの第2番は、なんと、ドイツ・グラモフォンへ3度録音しています。2度目は1995年12月アバド指揮ベルリン・フィル、そして現在ドイツ音楽を振らせたら世界一の巨匠クリスティアン・ティーレマンが、ドイツ音楽の牙城、いぶし銀の音色を奏でるシュターツカペレ・ドレスデンを振るという鉄板の組み合わせで2013年1月、ドレスデンで録音された第3回目ではベーム=ポリーニで始まった親子ほどの年齢差の組み合わせが立場逆転。ポリーニがベーム、アバドから受け継いだことからティーレマンに伝えるものはあったのかどうか。本盤はその、最初の録音。イタリア旅行にインスピレーションを受けて書かれたと言われる最盛期の傑作を、アバドとポリーニという若き二人のイタリア人によって、一点の曇りもなく描いた、明るく透明感にあふれたブラームスが表現され、ある意味、この曲のイメージを一新させたといえる名演だ。交響曲のような壮大なスタイルの中に緻密な部分が随所にちりばめられた作品ですが、当時30歳代のポリーニは瑞々しいタッチでこの大曲を鮮やかに表現しています。この録音は、まさにポリーニ最盛期の録音だ。1995年にアバド指揮ベルリン・フィルとのライブ録音をリリースしてはいるが、ポリーニならではの演奏を求めるならばやはりこの1976年のものだろうか。同じ1976年にはベーム指揮ウィーン・フィルとモーツァルトのピアノ協奏曲第19番、23番も録音している。また1977年には同じくベーム指揮ウィーン・フィルとベートーヴェンのピアノ協奏曲を録音、アバド指揮シカゴ交響楽団とバルトークの1番と2番、そして1979年にはやはりベーム指揮ウィーン・フィルとブラームスの1番も録音しているし、イタリア弦楽四重奏団とブラームスのピアノ五重奏曲も録音している。こうして改めて眺めてみると、ポリーニの1970年代のレコードは壮観だ。磐石のメカニックにささえられ、輝くような音色のピアノが、明るいブラームスを奏でる。全てが輝かしく確信に満ち、美しくもエネルギッシュなブラームスがお楽しみいただけます。第2楽章のスケルツォでは、響きが濁らないために非常に豪快かつ鋭利な音楽を作り出しているのもこの演奏録音の特徴だ。from 100年後でも聴いて楽しいアナログ名盤レコード https://ift.tt/2IpmYQ0
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AT DGG SLPM139 371 クラウディオ・アバド ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 ブラームス・セレナーデ2番、大学祝典序曲
オーケストラの音色を活かしながら ― 有名作曲家のマイナーな作品には名演が多いという「アバドの法則」を既にメジャーデビュー2年目にして発揮した録音。しかし、最初に録音するブラームスの曲が、はっきり言って退屈な「セレナーデ第2番」という指揮者もたぶんいないだろう。アバドのブラームスの特徴は、その軽やかなサウンドにあります。後年、ブラームスの交響曲・管弦楽曲・協奏曲全集に発展するのは未知数だった頃だから、レコード会社のプロデューサーの意図が大きく働いていることは言うまでもないが新進のクラウディオ・アバドは、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の音色を生かしながら、穏やかながらも要所をしっかり抑えたメリハリのある指揮で聴かせ、あえてこの曲を取り上げたことへの説得力を十分に感じさせてくれることになっている。「大学祝典序曲」は、明るい曲想とめまぐるしく移り変わる様々なモティーフの特徴や魅力をしっかりと表現しつくした上で高レベルで纏め上げた名演。アバドにとっては最も相性のいい曲のひとつと思う。指揮のスケールと説得力は20年後の、シュロモ・ミンツ独奏でのヴァイオリン協奏曲の余白での演奏には及ばないがオーケストラの音色はこちらのほうが個性的で、十分な存在価値がある。ご存じのとおり、当時ベルリン・フィルはヘルベルト・フォン・カラヤンとブラームス全集を完成していますが、その時はコントラバスは分厚く、金管は荒々しく輝かしく、という独特の鳴らし方をして、フレーズも低弦の出をずらし、ティンパニを深く打ち込むことで引き摺るように演奏していました。ブラームスのオーケストラ曲の響きは室内楽と管弦楽の混ざりあったようなもので、同じ時代に生きながらもブラームスはヴァーグナーとちがって、金管の使い方などが古風で、それだけに、木管が非常に重視されていた。それは誰しも知っている。だが、その木管の音色がブラームスではずいぶん地味な、艶消しをしたようなものであることには、必ずしも誰も気が付いているわけではない。例によって十年毎に録音をしているが、どこかのインタビューでカラヤンは楽譜を見るたびに新しい発見があると言っていた。指揮者の力量を図るのと同じように、中央ヨーロッパの管弦楽団の音色に実際にあたるべき、ブラームスの管弦楽曲の音の調整は比較的難しいことらしい。ところが、アバドはベルリン・フィルから腰が据わった重厚な響きを引き出しつつも、もっと横に軽やかに流線型に歌っていきます。アバドのこのやり方というのは、むしろフルトヴェングラーに近いような気がします。from 100年後でも聴いて楽しいアナログ名盤レコード https://ift.tt/2L12evN
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